さよならの行方

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「珍しいな、お前がヤケ酒なんて」  面白いものを見つけたような表情で煙草をふかす隣の男をジロリと睨み、再びグラスに口をつける。  カラン  グラスの中の氷を見つめ、それからぐいと飲み干した。 「別に、やけ酒じゃない」  グラスをカウンターへ置き、マスターに同じものを頼む。  隣の男。  圭司は鼻で笑い、自分のグラスを空けた。 「そんなに好きなら、なんであっさり引き下がったんだよ。あの子がいなくなってから、必死で探してたくせに。おーじくん」 「煩い」  ミツルが突然消えてから、知った事。  どれだけ傷付けたか、恨まれてもおかしくない。  なのに、笑ってくれた。  俺はあれ以上、何を言葉に出来ただろう。
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