さよならの行方

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「お前の敗因はさ」  先程のふざけた口調とは違う圭司の声に、ふと耳を澄ませる。 「1番大事なものと優先順位がブレたからだろ」 「……」 「誰も傷付かない恋愛なんて、なかなかないのにさ」  マスターから静かに差し出された新しいグラスに視線を落とす。  琥珀色の液体が、光を放ち、ゆらりと揺れた。 「……そうだな」  ぽんと肩に手を置かれ、視線だけを隣に向ける。 「で、どうすんのこれから?」  ニヤリと口角をあげてこちらを見つめる圭司を軽く睨み、そしてガクリと頬杖をついた。 「……考える」 「あっそ」  深く突っ込まない男に心の中で感謝し、俺は小さく息を吐いた。 <終わり>
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