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隣で口元を押さえている伊勢くん、確実に笑ってるでしょ。
私は半ばやけくそ気味に口を開いた。
「ごめんね、職場では秘密にしてたから」
青木君は大袈裟な位私達を交互に見つめ。
「……い、伊勢さんのばかあーー!!」
「え俺かよ」
青春映画の如く走り去る青木。
本当に空気読めない奴ね。
肝心の男を何とか追い払い、2人っきりになったところでやっとため息をついた。
「とりあえず、ありがと」
「無駄に巻き添えくった感が否めないんだけど」
腰に残されていた彼の手を振り払う。
まあいいけど、と彼は意地悪な笑顔を見せた。
「で、実際はどうなの? 最近のねーさんは」
「ほっといて」
「その様子は現状維持だな」
目を細める彼を軽く睨みながら、お礼に一杯おごるわと告げた。
「久々のサシ飲み、いいね」
「サシ飲みじゃないわよ、青木くんも呼ぶわ」
バッグから携帯をとりだし、青木くんに電話をかける。
と突然、携帯を取り上げられ、電源を切られた。
「2人がいい」
こいつ。
こんな顔して絶対悪魔。
<終わり>
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