悪魔とKY

3/4
前へ
/118ページ
次へ
 隣で口元を押さえている伊勢くん、確実に笑ってるでしょ。  私は半ばやけくそ気味に口を開いた。 「ごめんね、職場では秘密にしてたから」  青木君は大袈裟な位私達を交互に見つめ。 「……い、伊勢さんのばかあーー!!」 「え俺かよ」  青春映画の如く走り去る青木。  本当に空気読めない奴ね。  肝心の男を何とか追い払い、2人っきりになったところでやっとため息をついた。 「とりあえず、ありがと」 「無駄に巻き添えくった感が否めないんだけど」  腰に残されていた彼の手を振り払う。  まあいいけど、と彼は意地悪な笑顔を見せた。 「で、実際はどうなの? 最近のねーさんは」 「ほっといて」 「その様子は現状維持だな」  目を細める彼を軽く睨みながら、お礼に一杯おごるわと告げた。 「久々のサシ飲み、いいね」 「サシ飲みじゃないわよ、青木くんも呼ぶわ」  バッグから携帯をとりだし、青木くんに電話をかける。  と突然、携帯を取り上げられ、電源を切られた。 「2人がいい」  こいつ。  こんな顔して絶対悪魔。 <終わり>
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

445人が本棚に入れています
本棚に追加