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「私、仕事辞めちゃって。今は実家で休憩中」
もう半年も休憩してるけど、と笑った。
「新しい仕事探さないとね」
「……焦る事ないよ」
そうはいってもねぇ、と笑いながら彼女は夜空を見上げた。
「七夕の夜空って、何だか特別じゃない?」
彼女の言葉に、俺も夜空を見上げてみる。
日常と変わらない夜空。
でも、久々に再会した彼女と一緒に見上げている今が、何だか特別なものに感じた。
「水木くん、ありがとう」
「え?」
「今日、付き合ってくれて」
俺の方こそ、といいかけて、口を閉じる。
彼女は空を見上げたまま、ハァと大きく息を吐き。
「うん。頑張ろう、私」
彼女の言葉が、夜空を昇っていくように見えた。
俺も、頑張ろう。
心の中で小さく呟き、七夕の夜空を眺めた。
<おわり>
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