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人員不足で猫の手も借りたい状況の中。
急遽中途社員採用に踏み切り、面接までこぎつけたわけだが。
どいつもこいつも。
「郡司くん、眉間にシワ寄りすぎ」
数人の面接を終えた頃、同僚の万優に指摘を受け、ふんと鼻を鳴らし軽く睨んだ。
「今回書類審査担当したの誰だよ。最悪だな」
手にしていた数枚の履歴書をバサリと机に落とし、そのまま万優に押し付ける。
「うまい事ばかり書いて、実際面接するとあれだ。詐欺だろ」
万優は履歴書に目を通しながら、
「紫のパーカーとか、ネイルコテコテとか?」
「言葉使いは最悪、簡単なPC操作もおぼつかない、残業はしたくない、給料不満、何しに来たんだあいつらは」
「落ち着いて。まだ面接残ってるでしょ」
のんびりした口調で諭され、我に返る。
万優は書類をめくり、最後の1枚で手を止めた。
「この子、いいじゃない? 前職も大手の事務職経験してるし、資格もなかなか。PCスキル高そう」
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