風呂敷

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休みといったって、どの程度をとれば良いのか、そもそも何をしたら良いのか分からないと答える僕に、ご隠居さんは皺を増やして笑った。 「なぁに、簡単だ。 久しぶりに田舎へ帰ればいい。 多摩は遠くのようで近いから、すぐに帰れるだろうよ。 そうだな、十日、十日間でどうでぇい?」 十日間なんて言ったら、僕の店火消しの当番がまわってきてしまう。 ありがたいお言葉だが、七日間頂ければ十分と伝えると、ご隠居様は煙管の灰を炭火のついていない火鉢へ、カン、ポソ、と落とした。 僕はこの、煙管の金具が火鉢の縁に当たるカンという乾いた音。 そして、葉の燃えかすがフカフカの灰の上に落ちる間抜けな音が好きだった。 「やぁ決まりだ。 そうだな、三日後には発つといい。 ヒロとおカブにゃ、俺から言っておく。 仕事を中断して悪かったな。 さぁ、工場へ戻るといい」 ヒロは、材木屋の当代のご主人、おカブはそのご主人のおかみさん。 ただ、おカブって言うのは別名であって、本当はおカルさん。 本人はカブのように白いからっていうけど、周りはカブのような腰回りをしているからと笑っている。 .
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