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予想外の人物の登場のおかげで、だいぶ遅くなってしまった。見たかったテレビはもうとっくに終わってしまっただろう。 もらったラブレターは中身を見ずに鞄の奥に追いやった。 まさか中学の同級生が同じ学校に居るとは思わなくて動揺してしまったが、とりあえずは全て後回しだ。 平静を装い、ドアノブに手をかける。 「ただいまー…」 カチャ 一筋の光りもない暗い玄関。鍵をしめる音だけが嫌に響く。 「美夜…?」 僕達が住んでるのは質素なアパートの二階だ。建物事態も古く、狭い。隣の部屋の音なんてすぐ聞こえるはずなのに、全くの無音。 「……」 そっとふすまに手をかける。 ザ ザ 「!」 薄暗い部屋に人影。目の前のベッドに腰掛けた人影が、真っ直ぐこっちを見ている。 「…美夜?」 電気をつけるのも憚られ、そっと近づく。 「遅くなってごめん。こんな部屋で何をー……」 ぬる 僕が部屋に踏み入れても微動だにしない美夜の腕を掴んだ瞬間、自分の手にとても不快な感触がした。 生卵に手をつっこんだような感触。 生暖かく、まとわりついてくる。
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