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コロコロコロコロ… ジャガイモが歩道を転がる。 「やべ」 荷物が重くてなかなか追い付けない。 コロコロコロコロコロコロ ピタ 「あ」 ジャガイモが止まった。 ヒョイ 逃げたジャガイモは無事に捕獲された。ゆっくりと、僕とジャガイモとの距離が近くなっていく。 「ごめんなさい、そのジャガイモ、僕のです」 「…あ。はい…ジャガイモ…です」 ジャガイモを捕獲したのは、僕達の通う高校の制服を着た女の子だった。 ジャガイモを差し出す少女は目をあちこちくりくりさせ、手は少し震えている。 「…?ありがとう」 この女の子、どこかで見たような。まあ同じ学校だし、どっかで… 「あの!!」 「?!」 さっきまであっちこっちしていた女の子の目が、こっちを見据えている。
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