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「手紙……?」 「ごめんなさい、いきなり…」 白い封筒に、赤いシール。 これが俗にいう、ラブレター? 「高坂くんが一年遅れて入学してきてびっくりした。私は引っ越して、みんなと離れ離れになっちゃったから」 そうだ、俺は忘れたかった。だから、この高校を選んだんだ。 「中学の時と雰囲気全然違うし、最初はほんとに高坂くんかも確信持てなかったけど…妹さんも一緒に居たから」 やめてくれ。聞きたくない。 そう言いたいのに、言葉が上手く出てこない。 「やっぱり、あの妹さんの件で…… きゅ 無意識に、話を遮るように、目の前の女子を抱き寄せた。 「……?!」 「ありがとう、手紙、もらってくよ。じゃあ」 「あ……」 目の前の女子。葉月さんの手から手紙をさらい、足早にその場を後にする。 早く、立ち去らなくちゃ。 胸の中がぐるぐるする。辺りはもう真っ暗だ。急がなきゃ。 美夜が、待ってる。
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