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中学の時、同じクラスだった高坂くん。
いつも笑顔が眩しかった。
隣の席になった時、一気に私の周りが賑やかになった。
でも私は一人ぼっち。
修学旅行が近づいてきた。 行き先は京都。先生が教卓で、修学旅行の日程を説明している。
京都には前に住んでいた。
中学の時、東京に引っ越してきた。
だから…行かなくてもいいかな……
そんな事を考えていたら
「なあ、お前、京都行ったことある?」
「!!!」
びっくりした。
隣の席から声が飛んでくるとは思わなかったから。
「なあ、聞いてる?」
「え、うん。あるよ…。昔住んでたから」
「まじ?!あれだろ、京都って関西なんだろ?やっぱ怖いの?」
「えっ…怖く…ないよ」
「そうなんだ!よかったー。母さんが言ってた。関西のおばちゃんは怖いって」
「ぷ」
高坂くんって、面白いな。
「じゃあ、班決め開始ー」
いつの間に説明が終わったのか、先生の合図でみんなが動き出した。
高坂くんの周りに人が一気に集まって、私なんか、埋もれて見えなくなっちゃう。
はずなのに
「あ!おい、こいつ!京都住んでたんだって!一緒の班に入れたら迷子になんねーよ絶対!」
高坂くんが指を差した先には 私。
「え!そーなの!」
「葉月さんって京都の人だったんだ!」
「一緒にまわろーよ!」
わっ
高坂くんの席。違う。私の席の周りが賑やかになる。中心には高坂くんの、笑顔。
修学旅行は、高坂くん達と一緒の班になった。
それからの毎日はほんとにほんとに楽しかった。
夜のホテルで女の子達と恋バナをする約束もした。
内緒で花火も持ってく約束もした。
お菓子の交換の約束もした。
バスは高坂くんの隣になった。
そして修学旅行当日。
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