死にたがり若者

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「はー、まったくしんどいなあ。」 午後4時。 季節は初夏。 日差しの照りつける校舎は、内部の風をも熱風・・・いや、温風へと変える。 まったく・・・どうなってんだこの世界は。 俺がいた時代はこんなに暑くなかったのによ。 これが地球温暖化ってやつなのか? こいつら・・・よくこんな世界で生きていられるな。 「やっと学校終わったよ。」 「おい、はやく行くぞ。」 暗く、低く、その声は俺の空間をよぎる。 俺はそいつのあとについて、一歩・・・また一歩重く進んでいく。 まわりのやつらには俺たちのことなんてきっと見えていない。 だから重い足取りだろうがスキップしようがどうでもいいことだ。 廊下は白いタイル。 生徒たちは箒やらモップやらをうまく使いこなして、その廊下や教室をせっせと掃除している。 廊下のさきには隠し扉がひとつ。
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