死人伝

死にたがり若者

もちろんそれには理由がある。
理由もなしに殺人なんてただの「人殺し」だからな。
覚えているか、発言回数云々のことを。
あいつは、ある言葉を口に出しすぎたのだ。
だから俺たちは実行してやっただけ。
あいつは望みどおりになった、ていうことだ。
「Eもだいぶ心が痛むんじゃないの？」
「・・・そういうお前だって。」
「わたしは直接手をくだしているわけじゃないからね。」
「・・・俺はただ、仕事をこなしているだけだ。」
「ふーん、仕事ねぇ。」
これまでに俺は何人殺したんだろう。
もちろんファイルを見ればそんなこと一瞬でわかるのだが、それを見たところで俺には何の有益にもならない。
損益なんかで活動しているわけではないが・・・。