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魔法というものが日常に取り込まれているこの世界、文明は飛びぬけて進んでいるわけでもなく、かといって遅れてもいない。車も走っていて、携帯電話も存在する。そこに魔法というものが加わっただけの世界。
ここは高等魔法学校。簡単に言えば高校である。朝、黒を基調とした軍服のような制服に身を包み、男女様々な生徒が登校している。そんな中、一人だけ異質な雰囲気を放つ生徒がいた。
その生徒の制服にはフードが付いており、それを深くかぶっている。この状態でも表情が見づらい上に、黒く長い前髪が更に表情を隠している。ただ、口は尖っているので良い雰囲気ではないだろう。
また、彼の周りだけやたら人が少ない。彼の持つ雰囲気に圧倒されているのか恐れているのか、近づこうとする者はいない。
彼を見た男子は呟いていた。
「おい、あいつ相変わらず暗いな…」
「ああ…こりゃ近づかない方がいいだろ」
「だな…って、あれ?あいつの名前なんだったっけ?」
「おい、忘れたのかよ」
「いや…あいつの名前を呼ぶほうが珍しいだろ?」
「それもそうだが…。
あいつの名はだな、零だ。黒野零(クロノ レイ)。
やべっ、名前言ったら寒気が…早く行こうぜ」
「ああ」
異質な雰囲気を放つ彼の名前は、黒野零。
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