8人が本棚に入れています
本棚に追加
「始め!」
先生の合図で模擬戦が始まった。
開始と同時に零は魔法を詠唱する。
「喰らえ…『イーター』」
低く、小さな声で詠唱を終えた。すると相手の目の前に霊体の大きな口が出現し、喰らわんとする。
「くっ!」
相手はなんとか避け、そのまま零の方に向かってきた。が、零の前には無数の札が彼を中心に渦巻いている。
「なっ…」
いきなり現れた札に動揺した所を零は見逃さず、炎を纏った札を相手目掛けて放つ。と同時に、詠唱。札を剣で弾き落としている背後に大きな口が出現、気づかれる間も無く相手を飲み込んだ。
この時零は、詠唱を終えると同時に腰の右側に付けたホルダーから3枚の札を取り出し、自分の目の前に投げていた。札は数を増やしながら零を中心に渦巻いていき、結果相手をひるませた。
「……勝負あり!」
終了の合図が出たので、零は相手を解放した。その相手は気絶している。模擬戦を見ていた者全員が言葉を失い、この光景を見ていた。それを起こした張本人は何事も無かった様に集合前にいた場所に戻っていく。
ただ、零は、
「……つまらん」
一言だけ、そう零した。
最初のコメントを投稿しよう!