7. Underground

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 ――これはちょっと……ずるいな。 「いや、おう、どういたしまして……」  もごもごと返事をして、手持ち無沙汰にベルトポーチをまさぐる。このまま黙っているのはさすがによろしくない。話題を探していると、うってつけのものがあった。 「そ、そだ。これ、食べるか? 謎保存食。絶賛在庫処分中だ」  取り出したのは二本余っていた謎食品だ。まさか役に立つとは。購買意欲の向上にこそ繋がらないが、生産元へ密かに感謝した。 「……いただこう。ちょうど空腹だったところだ」  アリエスは苦笑混じりに応じてくれた。照れ隠しを見透かされた上に気を遣われたようで、余計に恥ずかしくなった。  小ぶりな口に謎保存食が運ばれ、数十秒ほどかけて食べ終わる。 「ぱさぱさしてて、それでいて、もそもそした味だ」 「デスヨネー」  俺も最後の一本をぱそぱそとかじりながら首肯する。口の中の水分を持っていかれた。
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