7. Underground

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 とりあえず喉を潤したいが、濁った地下水をそのまま飲むのは体調的にマズイ。俺は《OM》から浄水器と二人分のコップを出して、濾過と消毒が終わった水を注ぐ。  水属性の魔法でも浄化はできるが、アリエスは魔装が維持できなくなるほどの激戦を終えたばかりだ。多少の楽をしても構わないだろう。……そもそも使えるかも知らないのだが。 「はい、お水お待ちどう」 「ありがとう。……王都に戻ったら、東通りのクレープシュクレが食べたい」 「あっ、おまっ、この状況で流れるように《死亡フラグ》立てるとか、なんつうことを」 「しぼーふらぐ?」 「うん。あと、必殺技とか奥義とか当てて、《やったか!?》も絶対やっちゃいけない、って他ならぬ英雄が言ってたからな。きっと、俺達には想像もできない深遠な意味があるんだろう……」 「そ、そうなのか……わかった、今後気をつける……」  真面目っぽく装った俺の口調を真に受けて神妙に頷くアリエスが、実はからかわれただけと気づく前に話題を戻す。
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