7. Underground

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 確かに凄まじい、と認めざるを得ない。人智を超えた死闘が繰り広げられたのは間違いないだろう。訪れた者が、口を揃えて圧倒されたと感想を述べるのも分かる。  ――だが、この程度なら自分にも可能だ。  そう断じ、悠然と進む。視界が開けた場所が良かった。気付けば随分と街から離れた場所にいた。 「《グングニル》」  呼び出したのは、白銀の槍だ。  両刃の穂を持ち、全長は身の丈以上ほど。絶滅した小人族が遺したと伝えられる最上級魔武器であり、星剛鉄の穂先には超高密度の光属性特化術式が刻まれている。  慣れた手つきで振り回して感覚を確かめてから、無造作に銀槍を地面に突き立てる。ひびの中で、猛る白焔が輝き明滅した。  夜天に映える銀髪が砂原に吹いた一陣の風に靡く。それに合わせて、魔力を抑える役目を果たす黄金の装飾品もまた、金属質な音を奏でて揺れた。 「さァ、上がってこい。――消し飛ばしてやるよ」
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