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◆ ◇ ◆
学外研修二日目――と、銘打つには、すでに当初予定していた日程との差異が大きすぎた。
度重なる地震に、魔物の異常行動。
最早単なる自然現象と片付けられる話ではなく、事態を重く見た町長が、王都に緊急要請を同封した報告書を出したのが今日未明のことだ。
自警団の部隊を外門防衛強化のために再編成し、備えられた迎撃術式の使用も認可した街は、一夜にして静かな厳戒態勢の様相を呈していた。
当然、この非常事態において、未来を担うルーウィングの生徒達にも協力するようにとの指示が下る。名門だけあって、働きぶりは優秀だった。指示に先んじて自主的に行動していた者の姿まであったのだから、コルーテの街の人々も大いに感心していた。
学生達は自警団の補佐やコルーテ各区に設けられた避難所の雑用など、各々に任された仕事を忙しなくこなしていた。
学園側としては、この多忙と人員分割は、とある事実を隠すのにも好都合だった。
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