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ソラは利点を強調してなおも食い下がるが、取り付く島もない。
「危ないから。というか、なんでレイリスさんまでいるのよ」
「救命処置が必要な場合も、精霊魔法が使える彼女がいてくれたほうが対処しやすいかと思いまして。それに彼女くらいの背丈なら抱えられますし」
「あれっ? なにか今、クゥがバカにされたような……」
「まさか。むしろ褒め称えたつもりだよ?」
「な、なら良いのですが……」
「まぁ、うん。言い分はわかるんだけど……」
メルは、まずどこから聞きつけたのか、という探りの視線を向けるも、道化のように謎めいた微笑を浮かべるソラの心中を読み取ることはできなかった。
「クゥも、行方不明になったクラスメートは心配なのです……ノウトくん、アリエスさんに、ラークくん……先生、なんとかできないのでしょうか?」
瞳を潤ませた童顔には切実さが滲んでいた。クゥトにとっては、生存の可能性や、捜索の必要性など、あまり重要ではないのだ。
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