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色素の薄い中性的な顔立ちには、ばつが悪そうな苦笑が滲んでいた。本心から負い目を感じている、というふうに見える。演技なのだとしたらとんだ食わせ者だ。
「改めて問うわ。本当の目的は?」
「そこまで答えなければいけませんか?」
「あら、答える気になるまで待ってあげるわよ。アタシ優しいし。魔術士団の頃は皆泣きながら自白してくれたわ」
「それはコワイ」
ふむ、とソラは息をつき、静かに語る。
「そうですね……強いて言うなら、面白いことが好きだからですよ。この世は見るに堪えない下劣と愚昧が蔓延る反面、食べ尽くせないほどの娯楽に満ちている。ボクにとってそれは救いだ。興味深く、愉快で、退屈を彩って感性に快楽を与えてくれる。せっかくなら、この目で見に行きたいじゃないですか。たとえその結末が破滅であったとしても、それさえ愉しんでしまいたい」
「……随分と、危うい思想をしているのね。そこに善悪なんて介在する余地がない、とでも言いたげな」
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