8. Overpowered

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「ただし、条件がある」 「……なんでしょう?」  ソラはかすかに身構えたらしかった。取引を持ちかけられれば弱い立場であると自覚している。多少の要求は飲まざるを得ない、と考えているのだろう。  実に殊勝な心がけだ。  だからメルはこう言った。 「もう、ああいうことはしないように。以上。今回は許します」 「え」 「え、じゃないの。へ、ん、じ、は?」  ソラは珍しく面食らったような表情を浮かべた。  しかし、やがて、 「……約束します。貴女が良い人でよかった」  今度の微笑には嘘はない、ような気がした。 「では、早速ですけれど向かいましょうか」 「向かうって、あてでもあるの?」 「はい。舞台の特等席に、相応しい場所が」 「……こう言っちゃ不謹慎だけど、アナタは行方不明者の生存を全く疑ってないのね」 「えぇ」 「根拠は?」 「皆無です。あったら最初に提示していますよ」
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