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そりゃそうか、とメルは凝った肩をほぐしながら後に続いた。
事情を聞いたクゥトは、まずメルに散々平謝りした。その件はもう大丈夫だとを告げると、今度はソラに向き直り、わぁわぁと小言をまくし立てている。どうも気が抜けるが、その絵は微笑ましくもあった。
――ま、じっくり付き合っていきますかねー。ようは今後素行不良がなきゃいいわけだし。……ないわよね?
外門を通過した彼女達は街を離れ、終焉の地たる《戦場跡》へ行き着いた。
そして――そこで見た悪夢のような光景に、しばし揃って絶句することになる。
◆ ◇ ◆
五年前まで魔法世界の頂点に君臨していた魔王・ゴーセは、その名に違わず最凶だった。
人間大の体躯ながら、拳打の一撃で城壁を粉砕するその様はまさに怪力無双。並外れた知性であらゆる魔法を解析し、生来の超速回復能力による不死性まで有した絶対の存在は、残虐非道の限りを尽くしてあらゆる生命を脅かしていた。
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