8. Overpowered

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 鼻を鳴らしたラークは向けられる視線を歯牙にもかけず、銀槍を引き抜いた。気負いなど一片も感じられないそれが開戦の合図だ。 「とりあえず、邪魔だ。格下どもはそこで黙って見てろ。俺一人で十分なんだよ」 「……本当に大丈夫なんでしょうね、コレ」 「誰に向かって言ってる」  傲慢に言って、ラークは手に持った銀槍の穂先を大挙して押し寄せる大軍勢に向ける。肩まで持ち上げ、柄を体より後ろに引き絞った、一見してわかりやすい投擲の構え。  直後、銀槍が光彩陸離たる輝きを放ち始める。  込められた膨大な光属性魔力の収束が最高潮に達し、ゴォォッ! と白焔が現出した。消滅のあおりを受け、大気が金切り声をあげる。近づくのもはばかられるほどの圧力に気圧され、観戦するしかなくなった三人は被害の及ばないところまで引き下がった。  ラークはこの数量差を前に、策も弄せず真っ向から力ずくで捻じ伏せるつもりらしかった。  しかし無謀だと、無理だと、誰も言えなかった。
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