8. Overpowered

26/41
前へ
/386ページ
次へ
「凄い、凄い……素晴らしい……! これほどとは、なんて……でたらめな力だ……!」  圧倒的――そうとしか形容できない。  《ソニックスペル》などまるで相手にならない。もし自分が彼に勝負を挑んだとしても、間違いなく瞬殺される。そう予感させるほどに次元が違う力。それをこんなに間近で見られた感激に打ち震えた。  やがて、純白の大火が燃え尽きて霧散する。敵影はもうほとんど残っていなかった。クリスタル・ジャイアントも、巨体を半壊させて崩折れている。  これが王国ギルドの二つ名持ちSランク戦闘員――その序列第一位の、真の実力。  ただの一撃で。  ただの一投で。  大軍勢は壊滅寸前にまで追い込まれていた。  一騎当千の絶対強者は、光の粒子となって手元に帰ってきた銀槍を肩に担いで嘲笑した。 「ハッ! 数だけ多い雑魚の集まりが」  永らく扱える者も現れず、北奥領地の神殿に祀られていたこの槍をラークが手にしたのは、忘れもしない七歳の時。以来、敗北は一度としてない。
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10228人が本棚に入れています
本棚に追加