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「凄い、凄い……素晴らしい……! これほどとは、なんて……でたらめな力だ……!」
圧倒的――そうとしか形容できない。
《ソニックスペル》などまるで相手にならない。もし自分が彼に勝負を挑んだとしても、間違いなく瞬殺される。そう予感させるほどに次元が違う力。それをこんなに間近で見られた感激に打ち震えた。
やがて、純白の大火が燃え尽きて霧散する。敵影はもうほとんど残っていなかった。クリスタル・ジャイアントも、巨体を半壊させて崩折れている。
これが王国ギルドの二つ名持ちSランク戦闘員――その序列第一位の、真の実力。
ただの一撃で。
ただの一投で。
大軍勢は壊滅寸前にまで追い込まれていた。
一騎当千の絶対強者は、光の粒子となって手元に帰ってきた銀槍を肩に担いで嘲笑した。
「ハッ! 数だけ多い雑魚の集まりが」
永らく扱える者も現れず、北奥領地の神殿に祀られていたこの槍をラークが手にしたのは、忘れもしない七歳の時。以来、敗北は一度としてない。
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