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――大小さまざまなモニターの並ぶ部屋。
そこは当日に当直を言い渡された不運な職員のデスクとせめて雰囲気をと同僚が置いていった小柄な人工のクリスマスツリーの鮮やかな照明以外に明かりは灯っておらず薄暗い。
この男の担当は遥か臨む宇宙を飛来する小惑星を監視すること。
この国の技術は地球に飛来し、災害へと発展する小惑星を防ぐだけの位には達していたので事前に発見することが出来れば対処は容易だった。
しかしめったにそのような事が起こることは無い。
だから男は帰りを待ちわびているはずの息子たちと、妻に言う詫びの言葉を考えながら書類の散らばったデスクに足を投げ出してコーヒーを啜っている。
この日はクリスマス、人々は何も知ることなく永劫に思える日常を謳歌しながらこの日を各々楽しんでいた。
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