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男が監視モニターの異変に気付いたのは足をデスクから降ろして伸びをしかけた時だった。
表示されている小惑星のうち最も座標の離れている小惑星『Asteroid8004』が赤く点滅しながら『不明』に変わった。
それだけではない。
さらに通常の衛星軌道から逸れ、ものすごい速度で移動を開始し出したのだ。
「何が起こっているんだ」
男は飲みかけのコーヒーを後ろに放り投げ、コンソールに物凄いスピードで計算式を打ち込みだした。
後ろの壁に茶色の染みを広げながら紙コップは舞う。
正体不明の小惑星の最終軌道を割り出した時、男は息を飲んだ。
「嘘だろ……?」
背筋に冷たいものが伝って行くのを感じると同時に震えを抑えられない手で携帯電話を取り出し、担当部門の責任者を呼び出した。
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