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机の上に置きっぱなしにしていたケータイが、着信を知らせるランプを点滅させていた。 10分ほど前にあった着信は、圭太からだった。 すぐにかけ直す気にならず、机に突っ伏してもう一度はぁっとため息をついていると、ケータイが勢いよく振動し始めた。 慌てて通話ボタンを押すと、聞こえてきたのは圭太の声ではなく、母の声だった。 「もしもし?綾?あんた元気なの?」 あまりに連絡しないので、業を煮やしたのだろう。母の声はどこか苛立ちを含んでいた。 「あー…お母さんか。元気だよー…」 やる気なくそう答えると、電話の向こうの母はさっきの私と同じくらい盛大にため息をついて言った。 「何そのやる気のない返事は!だいたいあんた、就職どうすんの?就職活動してんの?」 「…ぼちぼちね」 「ぼちぼちって…。内定まだもらってないんでしょ?美大出たって働けなかったら高い授業料払った意味ないじゃないの!」 また始まった…。もうこんなときにこんな話やめてほしいのに。
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