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夕暮れの駅までの道をぷらぷらと歩きながら、圭太に電話しようかどうしようか迷っていた。 付き合って1年半になる圭太は、偏差値が高いことで有名な大学の法学部に通っている。 同じ学年だけどストレートで入っているので、私より実質1才年下になる。 真面目で成績優秀で、私にも周りにも優しく人望がある。 できすぎるほどできすぎな彼が、どうして私を選んだのかとよく友達に聞かれる。 理由の1つはわかっている。 私が、彼の前では彼の好みの女の子を頑張って演じたからだ。 会うときは絶対スカートをはいていくし、雑な言葉も使わない。笑顔を絶やさない。恥じらいを見せる。 …言ってて自分ではずかしくなってくるけど、とにかく頑張った。女子らしい女子を目指して。 手の届かないような存在だった彼に、少しでも近づきたくて。
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