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お母さんがキッチンで夕飯の支度をしながら、カウンターからたまにこっちを見ている。
そして、お父さんが切り出した。
「今日から、ここで暮らす、佳那美ちゃんだ。みんな仲良くな」
「佳那美です」
すると、さっきあれこれ教えてくれた、うるさいお兄ちゃんが言った。
「俺から、自己紹介するよ!じゃぁ、これ見て!」
ポンと出されたのは、画用紙に書かれた名前。
「俺、晴紀!今、高2ね!よろしく!」
くりっとした顔立ちの、小動物みたいだ。画用紙には下手な似顔絵が描いてあった。
「俺は、二番目、潤哉。よろしく。高3です」
大人な雰囲気をどこからか出してる。そんな、年が離れてないのに、セクシーな色気があるような人だった。ただ、適当に書いた名前の画用紙を、名前を言ってから出した。
「この中では一番年上だね。宏也、よく、ヒロヤって間違えられるけど、ヒロナリだから」
綺麗に、まっすぐな文字に似合う、端正な顔立ち。
画用紙を指差して、何度も名前をなぞってる。
その姿に少し笑えた。
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