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「なんだ、さっきのwelcomeといい、お前たち、そんなのまで作ってたのか(笑)」
晴紀が目を輝かせた。
「だって、早く仲良くなりたくてさ。覚えてもらえるかなって。佳那美ちゃん、これあげるね!」
「まぁ、晴紀の考えたこと、間違っちゃいないし、今回は賛成したんだ。はい、適当で悪かったな」
ニコ★
「僕ら、優しいお兄ちゃんになるんだから。かわいい妹が出来て、嬉しいな。よろしくね」
最後に、きちんと揃えながら宏也が、画用紙を渡してくれた。
「男ばっかでむさい、今瀬家じゃなくなるな」
お父さんの言葉に、ドキッとした。
『今瀬佳那美』
に変わるんだ。
「俺ら、何歳かとか、聞いてないんだけど。聞いてもいい?佳那美ちゃん」
「15です」
「じゃぁ、受験生?」
「えっ…」
そう言えば、前の家では、行けるかどうかわからなくて、あんまり考えてなかった。
前に、新しいお父さんにこの事を話したら、高校には行きなさいと、お金のことなんて考えなくていいって言ってくれたから、考え出したばっかりだ。
「そうだ。受験生だ。でも、佳那美ちゃんは賢いんだぞぉ」
「まぢ、晴紀より賢いんじゃね?」
「俺をバカにするな!」
「僕は、潤哉に一票」
賢い訳じゃない、賢かったら、前のお母さんは、機嫌がよかっただけだ。
すべては、身を守るため。
「迷ってて、どこにするか、考え出したのは最近だから」
「じゃぁ、俺たちと一緒のとこは?潤哉は卒業しちゃうけど、俺はいるし、お兄ちゃんが守ってやるのだ」
「たよりねー」
お父さんがあははっと笑った。
「確かに、同じ学校なら安心だな。そしたら、みんな近くにいられるな」
「どういうことですか?」
宏也が、話始めた。
「大学もある学校だから、結局みんな同じ敷地にいるってことだよ。潤哉も、同じ大学に進路はもう決まってるし、僕は院生になるし」
「私立なんですか?」
「そうだよ。まぁ、佳那美ちゃんは、何も気にしなくていいから」
お父さんの笑顔は本当に優しい。
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