prologue by epilogue

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─廊下。 木製の床でひとつの足音が木霊する。 騒がしかった日々は今は遠い思い出でしかない。 俺はかつて仲間と過ごした校長室ではなく、生徒会室に向かっていた。 俺の今の居場所はあそこだ。 俺が生徒会長になってからどれくらい経つだろう。 あれから……あの日から俺はまたこの世界に迷い込んだ者たちを何人か卒業させた。 ……それが俺の使命だから。 生徒会室の扉を開ける。 そこにはやはり誰もいない。 部屋の一番奥にある机には花が生けられた花瓶がある。 あいつが好きそうな花だ。 俺はそれに近づき、花びらを指で撫でた。 水……替えないとな。 『音無』 「……!」 思わぬ声にその場を振り返る。 そこには先程自分が閉めた扉があるだけだった。 「……まさかな」 自分を笑っているとチャイムの音が響いた。 今日、最後のテストの時間が終わった。 生徒……NPCたちはこれから部活を始める。 しかし、人間はこの世界の放課後でもっと自由に行動することができる。 俺に立ち向かいたいと言ったあいつもその一人。 楽しい学校生活を送るのか、それともその言葉通り抗うのか…… さあ、お前はこれからどうする? ─伊上 真。
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