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「そこにきて、今回の幽霊騒ぎの一件を加えると、どうなる?」
「まさか……」
そこまで来て考えが出てこないほどバカじゃない。
木之本は茶化すように左手をひらひらと振った。
「ま、あくまで仮定の話だよ。当人にあなたがモバイルゴーストですか? って聞けるチャンスがあるわけでもないしな」
……要するに、いくつかの選択肢の中の1つだと思っておけって事か。
「はぁ……何だか気の遠くなる作業に思えてきたよ」
「おいおい。探偵稼業をバカにするなよ? こんな作業をいくつも繰り返して、それでようやく真実に辿り着ける。そんな事を延々と繰り返してるんだからな」
「そうやってあんたみたいな変人が出来るわけだ」
俺の皮肉にも、木之本は冷笑で返すだけだった。
「とにかく、次のターゲットが誰なのかを調べるまで少し時間がかかる。何かあったらすぐに動けるようにしておいてくれよ」
「はいよ」
……またこんな早朝にたたき起こされるのはだけはごめんだ。
自宅でまだ両親が眠っていますように。
そして、何もない平和な日々が一日でも早く訪れますように……。
俺は木之本にバレないように、こっそりと空へと願った。
だが、家に帰った俺を待っていたのは延々と続く両親の説教だったのは、言うまでもない。
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