9章 尊厳という名の抵抗

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「……というわけで、朝からさんざんだったわけよ」  朝の通学路。俺はカオリに今まで起きたことをすべて説明した。  ヨシタカの遺骨が無くなっていたことにはカオリも驚きを隠せなかったようだった。 「恨みでそんな事をするって、あるのかな……?」 「そんなの、さっぱりわかんねえよ。刑事ドラマ的に言うなら、動機のあるヤツは一人しかいないって事か?」  ヨシタカが化けて出てきて、いじめてたヤツに復讐する。  いじめた事実を告発して、クラス全員にそれを知らしめるって感じか?  でも……。 「何か、腑に落ちねぇんだよなあ……」 「何が?」  カオリの質問に、俺は頭を掻いた。  俺の思っている疑問が具体的にそれが何なのか。考えようとしても、さっぱり浮かんでこない。  まるで脳が慣れない活動の連続で悲鳴をあげているようだった。  ……それもこれも、今朝両親におもいっきり叩かれた後遺症もあるかもしんねえな。 「ま、良くわからないんだけどな。何か違うような気がするんだけど……まぁいいや」 「まぁいいやって、ちゃんと考えないとダメじゃない」 「いや、そうなんだけどさぁ……」  俺なんかの頭じゃ何ともならないっていうか、キョウヤが戻ってきてくれたら違うんだろうなぁって考えるようになるのが癖になってしまった気がする。  やっぱり、どうやったって頭の出来じゃ、勝てない相手が多すぎるって。
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