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「ここまで来れば、キョウヤを救う方法は簡単だろ。モバイルゴーストは無条件に相手を殺すわけじゃない。命令メールに逆らわなければ助かるんだからな」
「もしも、その命令の内容が誰かにメールを送れ、だとしたらどうする?」
自分自身が絶望する事をキョウヤはさらっと言ってのける。
……やっぱり。
キョウヤはモバイルゴーストからの命令メールの内容もある程度想定済みだった。
「それだよ。キョウヤ……お前、始めからモバイルゴーストと心中するつもりだっただろ?」
「それがどれだけ誉められた存在じゃなかったとしても……俺にとって実の兄を殺されてるんだよ。これぐらい覚悟の上さ」
その反論にも一切の感情は見えなかった。
何が本心で、何が嘘なのか掴ませない態度に、俺は半分イライラしていた。
自分の命が危ないってときでも、キョウヤは周りの事ばっかり考えてやがる。
だったら……俺だって同じことをしてやるまでだ。
「俺が……俺が止めて見せる。もしもそんな命令なら、俺にモバイルゴーストを移せば良いじゃねえか。クリアできる命令が来るまで、キョウヤ……お前と戦い続けるんだ」
とにかく、キョウヤを救う。俺がリスクを負うくらい、どうってことないんだ。
「ナオヤは、やっぱり良いやつだね……ねぇ。少しだけ、俺の話を聞いてくれないか?」
キョウヤから話をしようとするなんて滅多にあることじゃない。
とにかく、話を聞いている間に何か打開策があるかもしれない。俺はキョウヤの目を見つめたまま頷いた。
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