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「俺はね、ナオヤが思っているよりもずっと、ナオヤの事を頼りにしてるつもりなんだよ」
「こんな時にそんな事言うなよ」
「全てを教えろって言ったのはナオヤだろ?」
「まぁ、それはそうだけど……」
「咄嗟の行動力は俺なんかじゃ太刀打ちできないよ。放送室に突進した時も、ソウマを助けようとしたのも、全部ナオヤがいなかったら出来なかった事だったよ」
嘘を付いているような言い方ではない。
モバイルゴーストが残るリスクをキョウヤがまったく考えていないはずがない。
「本当に……そんな事を考えてるっていうのか?」
「正直ね、少しは不安があったよ。だけど、こうして今俺のいる場所まで辿り着いてくれて、その不安はなくなったかな」
「だけど、それは……」
木之本っていう探偵のおかげであって、俺の実力なんかじゃない。
そう言いかけたのに、キョウヤは全てわかっているって感じで首を横に振った。
「気が付いてないかもしれないけど、ナオヤは少しずつ力を付けてきているんだよ。今日だってそうだよ。初めは俺に電話をさせようとしたけど、その後でこの場所で落ち合えるようにメールを送りなおしてくれたでしょ?」
「そんなの、たまたまだって」
「いや。悪い言い方をすれば、今までのナオヤなら絶対に気が付かなったけど今は違う。ナオヤの行動力に、冷静な分析力が身に付いたら……モバイルゴーストと渡り合えるはずなんだ」
……納得していいのかわからないのか、自分でもよくわからない。
ただ、話はキョウヤがモバイルゴーストに殺されたらって話になっているのに自分でも嫌気がして、とにかくキョウヤを救わなきゃいけないと考えた。
「とにかく――」
俺が口を開きかけた時、キョウヤの体が小さく震えて反応した。
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