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キョウヤの隣に立ち、携帯を覗きこもうとする……が、キョウヤは俺に構いもしないで携帯電話を素早くポケットにしまった。
「おい、どうしたんだよ?」
「悪いけど……ナオヤにこれは見せられないよ」
「何でだよ?」
「ナオヤに秘密にしていた事があって、それを隠し通さないといけないからだよ」
キョウヤの突然の態度の変化に、俺は何があったのか疑問に思った。
その原因はMGからのメールしか考えられない。
しかし、そのメールの内容を伝える事をキョウヤが頑なに拒む以上、俺に出来る手は1つしかない。
「どうしてもっていうなら……悪いな、キョウヤ。覚悟してもらうぜ」
俺はウォーミングアップ代わりに指を鳴らしてキョウヤと距離を置いた。
本当はこんな事したくない。ましてや友達のキョウヤを相手にするんだから尚更だ。
だけど……これも全てキョウヤを救うため。今まで良い所なしだったけど、さすがにキョウヤが相手だったら俺に分があるだろ。
「そうだよ。今の状況だって、他に選択肢がないから、ナオヤはそうしてるんだよね。知らない間にただ突っ込んでいくだけじゃない、考えた上で最後には大胆な作戦だって取れる……そんな風に成長してるんだよ」
「御託はいいっての。少し痛いかもしれないけど、モバイルゴースト相手よりはマシだと思って覚悟してくれよ」
俺はキョウヤ目がけて渾身の拳を繰り出した。
キョウヤはそんな俺の様子を見て小さく笑うと、ポケットからさっきしまったばかりの携帯電話を取り出した。
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