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「ぐ……あ……っ!」
バチバチという音が俺の体のすぐ近くで聞こえる。
人に――ましてやダチにスタンガンなんか押し当ててるんだから、少しぐらい容赦するとか、躊躇するとかないのかよ。
そんな突っ込みを入れるだけの余裕もなく、俺の意識は急激に遠のいていく。
「くそ……何をする、気なんだよ……」
「もしも、モバイルゴーストが再び現れるような事があったら、その時は頼んだよ」
その発言、どういう意味なんだよ。
もう声を出そうにも、口もまともに動かない。
「モバイルゴーストに負けない方法……それはね、尊厳という名の抵抗をする事なんだ」
何言ってるんだよ。頭の悪い俺にはさっぱりわからないっての。
尊厳? 何だよ、それ。
どうして、こんな大事な時でも、キョウヤは全てを俺に教えてくれないんだよ。
くそ……くそ……俺の体、動いてくれっ!
「じゃあね、ナオヤ」
キョウヤの足音がどんどん小さくなっていく。
それは俺自身がまともに音を聞きとれなくなっているからなのか、それともキョウヤがどこかに向かってしまっているからなのか。
結局、俺は何もわからない。
キョウヤを追いかける事すら出来ない。
……最後には悔しさすら感じるヒマもなく、俺の意識は闇へと沈んでいった。
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