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「よし。それなら近いだろ。さっそく向かうか」
木之本がそう言うなり、透明な筒に丸めて収められていた伝票を掴んで席を立つ。
「どうする? 今回は全員で向かうか?」
「そうだなぁ――」
木之本が考えるが、その結論を出すよりも早く、ミキが口を開いた。
「私達も行くわよ」
「いや、しかし……」
「ダメと言われても行く。これは私の身に起きた問題だもん。自分自身の目で見ないと、納得できない」
あくまで決着は明日。まだ何か危険が潜んでいるかもわからない場所に連れて行くというのは、少々気が引ける。
同じ思いなんだろう、木之本が困った顔で俺を見るが、俺は無言で首を横に振って答えた。
ミキ自身が行くと決めたんだから、何があっても行くだろう。こいつは昔からそういうヤツなんだ。
危険だから――と下手に諭して、どうせ明日失敗したら死ぬんだ、なんて大声で喚かれたらただでさえ怪しいこのパーティーなのに、不審度が倍になっちまう。
「カオリは、どうするんだ?」
ミキの宣言では『私達』と言っているわけで、当然その達にはカオリも含まれるわけだが。
「一人ぼっちなんてまっぴらよ。ここまで頑張ったんだもん。自分の目で確かめたい」
カオリは真っ直ぐな目で俺を見る。
そうだよな。普通だったらそう思うだろうな。俺でも同じ立場ならそう言ってるだろう。
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