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「――私も、ナオヤにそう言って欲しいって思ってた」
私は精一杯の笑顔を作る。それと反対に、ナオヤは心配そうな顔になった。
「怖く、ないのか?」
「怖いって言ったら、戦うのを止めてくれる?」
「……カオリがそう言うなら」
こんな時に、優しい表情になるんだから、ホントにズルい。
「そう言うと思った。このまま逃げるナオヤなんて見たくないと思ったし、私の事を考えないで突っ込んでいくナオヤも見たくないと思った。矛盾してる?」
「いや……」
私はナオヤの手を取った。温かい手。
「負けないでなんて、言わない。ただ、一人ぼっちにしないで」
「わかった。約束する」
私は泣いているのだろうか。笑っているのだろうか。
これから先、どんな事になろうとも、もう怯えたりはしない。
戦いが終わるまで。もしも、それが終わったら、私達はどうなるんだろう?
全ての元凶が消えて、ハッピーエンド。私達は結ばれて、幸せに暮らしました。
おしまい、おしまい?
いいや、そんなわけないじゃない。深く深くえぐられた傷の痛みがそう簡単に癒えるはずないもの。
それでも、こうしなくちゃいられない。
――それは、友達との約束だから。
私の最愛の人が、それを望んでいるから。
何より、私が――そう望んでいるから。
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