14章 絶望のその先へ<2>

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「共通点は幽霊に、やっぱりナオヤっすか」 「そうだな……だが、あいつはシロじゃないかと思ってる」  美樹さんにしては珍しい。これだけ情報が揃えば、とりあえず疑うのはナオヤだと思っていたが……。 「どうしてですか」  美樹さんは口を開きかけて、一瞬止まった。  何かを考える様子。それに違和感を感じた俺が口を挟む前に、美樹さんの口がはっきりと開いた。 「刑事のカンだ」 「……いいんですか、そんな適当で」  また小突かれた。この短時間で2度目。本日累計だと二桁に上り、今年の累計だと五桁超えは確実。 「調べるものが他にないなら、そこを洗うしかねぇだろ」 「そうっすね」  余計な発言は災いの元。  一連の不審死が繋がっているか、そうじゃないのか。  どちらにしても、美樹さんの態度がどうも気になる。  再び歩き出した美樹さんの背中を追いながら、俺は別の事を考えていた。  ……とにかく、今日はこれ以上殴られないで済みますように。  一刻も早くこの厄介すぎる事件が終わって、平和な時が訪れますように。  そして――願わくば、美樹さんが一日でも早く定年退職してくれますように。
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