17章 ようこそ、新たな絶望へ

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 扉を開けて、まず視界に飛び込んできたのは、一面赤い色だった。  おかしい。さっきまでここは真っ白な教室だったはず。それがどうしてこんなことになっているんだ? タツヤはその異様な光景に動揺した。 「タスケテ、タスケ……テ……」  教室の中央。そこに真っ赤な何かが声を発している。  それが全身血に染まった人だとわかると、タツヤは腰を抜かし、床に尻餅をついた。 (何なんだ、これは……)  見たことがあるとしたら、それは映画の世界だけ。タツヤは医学生でもない。これだけの出血を見たのは初めてのことだった。 「な、何なんだよ、これは……」  見れば、その人影から距離を置くように、学生が壁に張り付いて固まっている。その中の一人の男が恐怖にかられて声を出す。  その光景を見て、教室の中央に立っているのが誰なのか確信した。  あれは――チサだ。  声を出した男はチサの現彼氏。着ている服にはべったりと血が付いている。近くにいた証拠だ。 「だ、誰か。とにかく救急車を……」  反対側から声がしてタツヤは振り替える。教壇に身を隠していた教授だった。  いや。この状態じゃあ助からないだろう――タツヤは根拠はないがそう思った。  教室の広域を赤く染めるぐらいの出血で人が助かるわけがない。その考えは間違ってはいなかった。
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