20章 孤独な戦い

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「何か、不思議な感じの人だったね……」  ナオヤが立ち去った後、キヨミがタツヤにそう告げる。 「悪かった。嫌な思いをさせただけになってしまった」 「そんな事ない。タツヤは悪くないから……それに、日本中の大学生が死んでるのは事実だもんね」 「手がかりはなくなったけど、俺が守るから」  頼りないかもしれないけど、と付け足す。キヨミはそっとタツヤの手を解いて、タツヤの真正面に立った。 「……ねぇ、1つ聞いてもいい?」 「どうした」 「どうして私にそこまでしてくれるの?」  真っ直ぐな目。タツヤはそれを正視した。 「ただ、助けたいから。それだけじゃ、不満か?」 「下心があるからって言ってくれた方が嬉しかったかも」  遠まわしの告白。その意味が理解出来ないほどタツヤも鈍感ではない。 「全てを片付けて冷静になって。それでも俺の事が気になってくれるなら、改めて話そう」 「……そうだね」 「これからどうするかだけど――」  タツヤは考えた。チサの死に方も、タカヒロの死に方も通常では考えられないものだ。  何があっても対処できるようにするためには、キヨミから片時も離れるわけにはいかない。 「キヨミの家に戻ろうか。とにかく家にいて動かないのが安全だと思う」 「うん。わかった……2人で、頑張ろうね」  頼りになるのは自分しかいない。  孤独な戦い――タツヤは無言で大きく頷いた。
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