26章 決戦前夜<3>

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 力強い抱擁。溶けるような口付け。  ――そして、2つのものが1つになる喜び。  全てが終わった後、ナオヤは心配そうに私の顔を覗き込んだ。 「だ、大丈夫だったか?」 「……うん。大丈夫」  大丈夫だって聞きたいのは、私の方なのに。  明日で全てが終わる。それがどんな結末になるのかは、私にもわからないし、ナオヤにもわからないんだろう。  私はナオヤの胸にそっと手を添える。  心臓の鼓動が早い。でも、それ以上に体が小刻みに震えている。  気がつかないフリをして、その手をナオヤの手へと移動させる。ナオヤもそれに気がついたのか、手を握ってくれる。 「いよいよ、明日だね」 「……ああ」 「長かったね」 「……後悔、してないか?」 「後悔は、明後日からするって決めてるの」  ――だって、そうしないと今を乗り越えられないから。ナオヤが私を握る手が、少しだけ強くなる。 「今から逃げてもいいんだぜ」 「……逃げないって知ってるんでしょ?」  ナオヤは「そうだな」とだけ呟いて、口付けを交わす。  私たちは、幸せにならなくてもいい。不幸でもいい。この悪夢だって、晴れそうにもない。  ただ――逃げたままじゃ、いられない。
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