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翌日、俺の家に来たキョウヤは昨日の事など無かったかのように、いつも通りの顔をして現れた。
ちょっと気まずかったらどうしよう……なんて少しだけ悩んだけど、やっぱりキョウヤはキョウヤみたいだな。
「どうする。上がっていくか?」
「いや……先生達に見つかるのも気まずいし、早めに行こう」
「了解」
俺は簡単に支度を済ませ、キョウヤと一緒に学校へ向かった。
俺と違ってキョウヤは優等生。俺みたいに遅刻ギリギリで学校に行くヤツとは違うから、朝にキョウヤと一緒に学校に行くなんて事はない。
学生服でもないし、キョウヤと並んで歩くのはちょっとだけ違和感を感じた。
「なぁ、キョウヤ。学校で何をするつもりなんだ? さすがに中に入るのはマズくねぇか?」
「最悪は忘れ物をしたとか言い繕うさ。それに、目当ては違う所にあるからいいんだ」
俺がそんな言い訳をしたら誰も信じてくれないけど、キョウヤなら大丈夫か。
「そんで、その目当てってのは?」
「すぐにわかるさ」
相変わらずキョウヤは多くを語らない。
学校のテストだってそうだった。
俺やミキがテストの点が悪くて苦しんでいて、カオリは普通やや上ぐらいの点数。
そんな中、キョウヤは一人だけ涼しい顔をしているもんだからテストはどうだったのかと問い詰めてみたら、しれっと「ああ。満点だったよ」ってぬかしやがる。
誰にも自慢しないし、喜びもしない。
ホントに昔はキョウヤには感情すらないんじゃないかって思ったぐらいだった。
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