3章 混沌の午後

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 キョウヤと知り合ったのは高校1年の始めの時。  クラスの中で一人だけ浮いていて、友達を寄せ付けないってオーラを出していたもんだから、当時すぐに打ち解けていた、俺とミキによる賭けが行われた。    賭けの内容は俺が近づいていって、キョウヤと仲良くなれるか。  はっきり言って無謀な賭けに思われたし、カオリからは賭けごとで友達になるなんてダメだよ、なんてつまらない忠告を受けたりもした。  だが、そんな些細な事には構わず、俺が気さくにキョウヤに話しかけると、あっさりと打ち解ける事が出来た。  まぁ、その賭けに勝った俺はミキからハンバーガーセットをゲットできたわけだ。  ……打ち解けた、といっても俺が聞いた事は何でも答えてくれるけど、キョウヤの方から話しかけてくる事は滅多に無かった。  それは今でもそう大した変化はないけど、1つだけわかった事がある。  キョウヤはクラスメイトを拒んでいたわけではない。ただ自分から打ち解けようとしなかっただけだった。  それがどうしてか……初めはあれこれ考えたりもしたけど、今では俺も、カオリも、ミキも深く考えないようになっていった。  要するに、キョウヤはキョウヤ。そういうヤツだ――それで良いと思うようになったんだ。 「……やっぱりいたな」  「ん、え?」  俺がキョウヤとの回想にふけっている間に、気がつけば校舎の前まで着いていた。  そこには、前にも見た事のある光景があった。  
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