3章 混沌の午後

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「サツ相手に自分の担任を犯人に仕立てるとは、良い度胸してるなぁ」 「そうじゃないっすよ。ただ可能性はあるかもって言ったまでっす」 「まぁ……残った可能性はそれぐらいしかないわな。だが、彼女を探している間、先生達は2人1組で行動していたようでな。身内だがアリバイは取れてるし証言に矛盾もない」 「そんなの、口裏合わせれば何とでも――」  美樹刑事は太田刑事にやった時と同じように、俺を手で払った。 「ああ、うっせぇ。素人が余計な推理してんじゃねぇよ。探偵ごっこじゃあるまいし……」 「先生がやったとして、自分が不利になる事はあっても動機はないだろうしね」 「まぁ、そういうこった。弱みでも握られていたならともかく、一介の女子高生殺して何になる?」  その美樹刑事の反論でピンと来た。 「ちょっと待った。ひょっとしたら、その可能性もあるかもよ?」 「へぇ……言ってみろよ」 「キーワードは、MGだ」  俺の発言にも、美樹刑事は表情をまったく変えなかった。 「ユカリは体育館を逃げた後で、一度教室に来ているんだ。その時にMGってヤツがユカリに送ったメールを見せてもらったんだけど……ユカリが誰かと付き合ってて、何か悪いことをしてるから白状しろって書いてあったんだよ」 「要するに、ユカリと付き合ってるのが吉田先生で、吉田先生がそれを白状されたら困るから殺したって事か?」 「そう。それだよ。ナイスフォローだ、キョウヤ」  ……どうだ、見事な推理だろう。  俺はどや顔で美樹刑事を睨んでやった。
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