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「警察の調べが間違っているとも思えん。後はお前達の話が嘘か、あるいはユカリの自演の可能性が考えられる」
「何だよ、俺達が嘘を言ってるって言いたいのかよ? こっちはクラス全員が証人なんだぜ?」
「ナオヤ、別に嘘だと決めつけているわけじゃないだろうが。何のためにユカリがそんなことをしたのかは今となっちゃわからんが、消去法で残ったのはそれだけってことになる」
原因はさておき、有りうるのはそれだけ、か……。
面白半分でやったとかなら考えられなくもないけど、あの時のユカリの様子はそんなんじゃない。マジな顔だった。
あれが演技だっていうなら、多分俺は一生世中の女に騙され続けて生きる事になるだろうな。
「確かに腑に落ちん事はいくつかある。だけど、今のお前達がすべき事はそれを探したり、不必要に恐怖にかられる事じゃないだろ。何も二人失った悲しみを忘れろと言う訳じゃないが、各自の未来への可能性は今にかかってる事を忘れないように」
「はい、わかりました」
……あーあ。学級委員、吉田先生の言うことに完全に共感しちゃってら。
その点、俺はクールだぜ。
キョウヤの言葉を信じてるしな。
あいつが予想した通りまだ何かが起こるとしたら、残念だけど今すべき事は勉強じゃあない。
いつ、何が起こるかわからない。そんな時に神経を磨り減らして勉強なんかしてどうする?
そう、今すべきことはいつでも戦えるように寝ることだ!
「よし、それじゃ。いつもと同じように授業を始めるぞ」
俺はクラスのみんなが教科書を開くと同時に、机に突っ伏した。
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