3章 混沌の午後

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「単純な願望で言えば吉田先生と同じ。だけど……先生の話した内容には問題が1つあるから全面的に賛同は出来ないんだ」 「問題って何だよ?」 「今回、俺達もあやしいと思っているMGからのメールについて。先生は携帯会社に記録がなかった。そして俺達は嘘をついていないから、実際にMGからのメールはあった。だとしたら、消去法でユカリが自演したって話だっただろ」 「んー。それが何か問題でもあるの? 私でもそれ聞いたらなるほどーって思っちゃうけど?」  そう言えば、ミキは隣のクラスだからその話は聞いてなかったんだったな。  あの時、クラスのみんなも色々と思う所はあったのかもしれないけど、みんな納得はしていたはずだった。 「消去法というのは、始めに全てをちゃんと洗い出して、そこから可能性のない事象を取り除いていき、最後に残ったものが答えだという考え方だよね」 「難しいことはわからないけど、まぁそういう事なんだろ?」 「あの時クラスにいたヤツなら誰もが疑問に思うはずだよね。あんな状態のユカリがそんな事をするか? って」 「そうそう! それは俺も思ったって」 「ホントに? どうせキョウヤが話してるのに便乗していいかっこしてるんでしょ」  カオリが疑いの目を俺に向ける。だけど、これは事実だっての! 「ざけんなよ。このキョウヤに匹敵する頭脳を持った俺様なら当然の事さ……それで、キョウヤ。次は?」 「……なーんか、ナオヤがいると緊張した会話も台無しよねー」  ミキのため息にカオリは苦笑する。キョウヤは、無言で次の言葉をどのタイミングで出すべきか俺達の様子をじっと見ていた。
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