一章 始まりの丘の遭難者

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「先生こそ天然さはだいじょーぶですかー?」  すかさず生徒も言葉を返す。  朝のホームルームとはこういうものなのか、と錯覚しそうなくらいの和みに教室には笑が舞う。  女教師は話を続けた。 「この成瀬琴美、天然さは治りませーん。はい、そこで皆さんに学校からのお知らせがあります」  生徒は薄々何を言うのかは気づいているようだった。 「あ、夏休みといってもたったの一週間ですけどねー。今年も恒例のスポーツフェスティバルがあります!」  その言葉に教室内は、 「待ってました、学園内定番行事!先生、今年の種目はなんですか?またド派手なやつやっちゃうんですか?」  質問が投げかけられ、その上に教室内は小さいお祭り騒ぎ。 事は収まりを見せない。 「皆静かにー。今年はですね――」  生徒達が成瀬に一斉に注目した。
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