一章 始まりの丘の遭難者

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「まだ決まっていませーん」  その言葉に教室内は驚きの声で満ち溢れたのだった。 「皆さん夏休みが目の前に迫っていますね?そこで今回は生徒会が種目決定について皆さんにとって嬉しい提案をしてくれました」  嬉しい提案とはなんだろうと生徒たちは首をかしげた。  前回までは校則により生徒会や教職員による学校行事議会で安全の考慮と学生の行事参加意欲の二つを軸に種目の決定が行われていた。  だが今回は毎年決まった時期に発表される競技種目がまだ決まっていないのである。  教師は生徒の注目を浴びながら、 「では説明します。今回の種目についてですが、スポーツフェスティバルは休み明けの五日後に行われますね?その間に種目を決定するんですがー、種目については今日十二時をもって投書箱を校内に設置。それから五日後の終業式終了と同時に〆切とします。」  その言葉に一人の女生徒は女教師に質問した。 「五日間で決めるんですか?それはちょっと無茶な気がします……。だって三年生だけでも八クラスありますし学年全体で七五〇人ですよ?」
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